FUNK
FUNKという言葉。 ストリートダンスに関わる人全てに必ず関係します。
その歴史を勉強してみましょう。
ファンク(funk)は音楽のジャンルのひとつであり、その中でも黒人起源のブラック・ミュージックのジャンルに属す。
ファンクという言葉は、元々が黒人独特の体臭を指す俗語である。
ジェームス・ブラウン或いは、ジョージ・クリントン率いるPファンク一派のイメージから「ファンキーオヤジ」は、ぶっ飛んでるヘンなオヤジを意味する用語として日本語化しているように、ファンクミュージック自身もそのイメージどおり、歌詞には品性が無く、曲中にも情けない奇声が錯綜する泥臭くて垢抜けない作品が多い。
そのため、皮肉にも本国アメリカの白人層は勿論黒人層でもエリート層にはゲテモノ扱いされ、ウケが困難である。
却って、英語圏外のフランスやドイツ、そして日本で高く評価される傾向がある。そんな日本でも、大の大人による情けない奇声等は特に女性の理解困難であるためデートや家族サービス向けのムード音楽には縁遠く、ゲテモノ扱いされるばかりか、熱烈なファンクマニアですら、初めて耳にする曲には顔をしかめることが多い。
だが、こういった欠点を無視して、BGMとして繰り返し聴いているうちに、いつの間にか独自のノリ(Groove)に夢中になってしまう不思議な魅力がある。しかも一般のヒット曲とは異なり、最初のイメージは極めて悪いが、一旦魅力を感じる者を、容易に聴き飽きさせることがない深みがある。謂わば、音楽分野の前衛芸術ともいえる。

そのようなファンクの泥臭いイメージを払拭して、ファンクの優れたエッセンスだけを抽出してロック等の要素も取り込んで、一般人受けの作品として成功した代表的アーティストが、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)がプロデュースを手掛けたマイケル・ジャクソン (Michael Jackson)をはじめとして、アース・ウィンド・アンド・ファイアー (Earth, Wind & Fire)、ロングセラーとして今日でも極めて高く評価されているファンクの名盤1999を輩出したプリンス (Prince)等である。
しかし、今日の世界中のミュージシャンが、直接・間接なりともファンクのエッセンスを取り入れているものと思われる。その点で、ファンクは、同じくアクの強い音楽のジャンルである、演歌やヘヴィメタとは決定的に異なる。

後述するように、その歴史の幕開けは、アメリカで公民権運動により黒人への多くの差別制度が撤廃された時期とも重なる。
当時のアフリカ系アメリカ人達が、明るい未来に希望をもった時期である。彼らの希望はやがて廃れてゆくが、奇しくも、その流れはファンクの流行と重なる。90年代以降のR&B分野のヒット曲の多くは、単に70年代から80年代のファンクのサンプリングに過ぎない(皮肉にもオリジナルの多くは前述の泥臭さのため全米チャートではあまりヒットしていない)。


■起源

ファンクは、アフリカ系米国人を起源とし、ミーターズやジェームス・ブラウンおよび彼のバンドのメンバーを始祖として祖型が形成されたとされている。特に天才ベーシストブーツィー・コリンズがジョージ・クリントンにスカウトされてPファンク黄金時代を築き上げた(Pファンクにて詳細)。
一方、70年代初頭サンフランシスコから、白人・黒人混成バンドスライ&ザ・ファミリー・ストーンにより、ロック的要素を取り入れたファンクが白人にも受け入られたがわずか一時期に過ぎなかった。彼による曲は現在でも多数がサンプリングされ、今日でも世界中のアーティスト達に愛されている(一説によればプリンスのファッションはスライの影響を受けたものとされる)。
そして、ブラック・ミュージック、ソウル/R&Bを土台にし、アフリカ音楽やジャズ的要素を取り入れ発展していった。

■特徴

ファンク・ミュージックの大きな特徴は、バックビート(裏拍)を意識した16ビートのリズムとフレーズの反復を多用した曲構成である。
ダンス・ミュージックとしての色彩も強いため、とりわけリズムはファンクを位置づける大きな要素となっており、分厚くうねるベースライン、鋭いリズムギター、強いリズムのホーンセクションなど、演奏楽器のすべてがファンクビートを形成していると言える。
バンドや楽曲ごとにさまざまな特徴があるが、ドラムマシーンによる機械的なビート、アフリカやラテン系のリズム、ジャズやロック、レゲエの要素を取り入れるなど、ジャンルを超えた発展を続けている。

■歴史

1960年代末から1970年代初頭にはスライ&ザ・ファミリー・ストーン(Sly & the Family Stone)がファンクに白人にも受け入れられるようなロックの要素を取り入れ、70年代には、ジョージ・クリントンがPファンク(パーラメント - ファンカデリック)として活動し、
ファンクを発展させた。その他の70年代ファンクの代表的アーティストとしては、ブーツィー・コリンズ(Pファンク一派にも属する)、ブーツィによりプロデュースされたザップ(ロジャー・トラウトマン)、ラリー・グラハム、 オハイオ・プレイヤーズ、コモドアーズ、アース・ウィンド・アンド・ファイアー、スレイブ、レイクサイドなどが挙げられる。

1980年代になり、エレクトリックミュージックが市民権を得るのと入れ替わりに、ファンクの人気は衰退したように見えるが、プリンスによる超ロングセラーの名盤「1999」、リック・ジェームス、ミクスチャーロックとされる一部バンドがファンクのリズムを取り入れたり、ヒップホップアーティストがファンクのフレーズをサンプリングしたりするなど、2006年時点においてもその影響は続いている。

■他ジャンルへの影響

ファンクはジャズ・シーンに大きく影響を与えており、マイルス・デイヴィスやハービー・ハンコック、ジョージ・デューク、エディー・ハリスなどがファンクを取り入れた音楽を演奏している。
この音楽はジャズ・ファンクとも形容され、アシッド・ジャズ(踊れるジャズを元に発展した音楽)やレア・グルーヴ(1969〜1970年代ごろのジャズ・ファンク、ソウルで、グルーヴ(ノリ)が強いもの)、ジャム(≒即興演奏)に影響を与えている。(※注 ジャズにおけるファンキーとは、そもそも「野暮ったい」「土俗的」などの意を含む俗語であるが、これに対して、ファンキー・ジャズとはブルース色(アーシー)、ソウル色(ゴスペル)を強めたジャズであって、ジャズ・ファンクとは異なる音楽を指す。
よって、ジャズを聞きファンキーだと感じるものと、本稿で指す音楽に対してファンキーだと感じるものは異なる場合がある。)

ディスコブームの発展にもファンクは大きく関わった。多くのファンク・レコードがディスコでプレイされ、また多くのファンク・バンドがディスコ向けの曲やディスコ向けのアレンジ(一曲を引き伸ばした曲、リミックスされた曲)などをリリースした。また、ジョージ・クリントンらPファンク一派は、デトロイト・テクノにも、そのベースラインとSF志向において大きな影響を及ぼした。

ファンクは1960年代半ばからアフリカへ紹介され、ジャズやアフリカのリズムをとりいれたアフロビートへ繋がりフェラ・クティにより大きく発展していった。

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